およそ人間が漠然とでもそれを想像できる気象の範囲は数十万年の単位であり、例えば数億年に1度、数千万年に1度の気象的変化はそれを想像することも難しい現実があり、従って地球的規模の変化ほど人間はこれを予見することが困難なものである。
それ故今日人類社会を脅かす異常気象と言うものも、その気象サイクルのスケールをどこに持ってくるかと言うことで、大きく変化しているものか、または通常の範囲なのかの判断は異なる。
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気象を数万年のスケールで見た場合、現在の気候は第4期の氷河期で、ビュルム氷期終了後の間氷期、つまり第4間氷期と呼ばれる比較的温暖な気候期にあたるが、現在の気候は約7000年前、この頃にはエジプトにも緑が繁茂していた時期だが、そうした時期よりは少し寒冷化しているものの、基本的には19世紀に終わった小氷期以降、温暖な気候へと向かいつつある。
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寒冷化と温暖化は数千年、数十年でも常に波を持っていて、例えば前出の7000年前だが、この時期の気候は今の気候よりは遥かに暖かい気候であり、日本で言えば縄文前期ごろは軽装で生活することができたが、それが弥生期に入る頃になると、福岡くらいまで冬には雪が降るようになり、こうした背景から着衣に関して、その発展がめざましい進化を遂げていくことになり、また従来から広義では存在していた稲作も、その管理体制が少しずつ発展していくのである。
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さらに日本の気候はこれから平安時代にはまた少し温暖化してくるものの、本質的傾向はその後も変わらず、もし江戸時代に現代の日本人が暮らすとなれば、今よりは相当冬が寒く感じるはずである。
そして19世紀以降、日本の気候は少しずつ温暖化に向かい、昭和35年(1960年)ごろから、この温暖な気候傾向は一段と加速されたものとなっていく。
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また現代の気候だが、人類が消費するエネルギーによって排出されるCO2により、温室効果が発生し、それで地球の気温が上昇するとされたが、実際は世界各地で起こる寒冷化現象である。
アメリカ、チベット、日本などもそうだが気温の低い状態が続き、植物や動物の生態系に深刻な変化が発生している。
海底では水温が低いにも拘らず、海草などが海水温が高い夏の状態を示していたり、密蜂の急激な減少などが発生して来ている。
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こうしたことから考えなければならないことは、良きにつけ悪きにつけ、人類は自身を過大評価しないことではないだろうか。
例えばCO2だが、実はCO2で温室効果が発生するためには、世界各地で火山活動が活発化して、それが続かないと自然の状況では温室効果は得られない。
また基本的に地球の大気温は、地球がはね返す太陽光の割合の変化の方が重大であり、これを決定するのは地球の雪の量や、雲の存在にそれが起因しているとされることから、地球の気温上昇の鍵は人類の営みによって左右されるほど単純なものではない可能性がある。
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そして気候は常に波があり、現在起こっている日本の寒冷化だが、これは10年、20年の単位ではサイクルとして起こってきているもので、決してその範囲に措いては異常とまでは言えないものでもある。
例えば1993年、この年、日本は大変な冷夏に見舞われ、日本の夏の平均気温は2度も平年を下回った。
そのために起こってきたのは太平洋戦争後初めての米不足であり、国内季節商品の販売不振による経済の急激な落ち込みだった。
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また1984年にはアフリカの大干ばつ、1987年にはバングラディッシュの大洪水、1990年からは日本でも記録的な台風上陸現象が起こっていた。
更にこの1990年を取れば、この年の1月には中心気圧954hpと言う強烈な低気圧が西ヨーロッパを襲い、暴風雨や雪を各地にもたらし、この時の死者は100人にも及び、1992年8月24日には中心気圧932hp、最大風速78m/秒と言う大型ハリケーンがアメリカを襲い、翌1993年にはミシシッピー川が20世紀最大の洪水を起こし、周囲のトウモロコシ畑や大豆畑が壊滅、これによって穀物市場は大混乱になったのである。
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更に1993年だが、この年は世界的な気候の変動があり、モンゴルは4月半ばまで氷点下40度の寒波に遭い、死者は12名、家畜に至っては67万5700頭が凍死したのであり、ヨーロッパは1993年11月から寒波にみまわれ、ウクライナのキエフでは平均気温が例年より6度も低い異常な寒波に晒されたが、それから一転12月には気温が上昇し、今度は雪が雨に変わって、その雨が止まらなくなる。
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パリでは連続20日間雨が降り続き、ドイツ・エッセンでは連続降雨27日、実にヨーロッパは広い地域で例年の3倍近い降雨を記録し、その結果がボンやケルンなどで起こったライン川の大洪水につながり、こちらも20世紀最大の大洪水となったのであり、実にライン川は10mも水位が上昇したのである。
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そしてこうした気象災害は何をもたらしたか、それは経済に与える影響である。
1965年から1986年までの国際社会は、被害額1000億円を超える自然災害を経験していないが、この翌年1987年にはヨーロッパの暴風雨により、4000億円の被害が発生、更に1991年にも暴風雨で4700億円、1992年日本に上陸した台風19号の被害は6000億円、同じく1992年アメリカに上陸したハリケーンの被害は2兆円、1993年日本の冷夏による損失は2兆円、同年7月から始まったアメリカミシシッピー川の氾濫による死者は48名、5万4000人が避難し、被害家屋は51400家屋、トウモロコシ、大豆の生産額は対前年比それぞれ24%減、13%減となり、その被害額総額は2兆7000億円だったのである。
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第2章「気象と社会」へ続く
第一章「気象と経済」
第二章「気象と社会」
その地域の大河川や大内陸湖の畔に有る港は、大繁栄を遂げることが有るが、灌漑、流域の変遷によって、一世代ほどで、凋落し、気候変動などでは、一世紀ほどで滅び去る、という事も世界には多い様だ。アラル海はアラル土手~~♪
アフリカのサン族は、カラハリ砂漠周辺で遊動生活を営んで、1万年とも2万年とも言われるが、文明化の危機を乗り越え、専制化の危機を回避し、民族として未だに健在である
北アメリカのインディアンは、気象にも環境の変化にも逞しく生きて来たが、白人の入植者に追い詰められて、何十部族1000万人と推計されていたのに、今や30万人以下。
東南アジアの米作民族で灌漑の悪い所は、一期作で、降雨に依存しながらも、文明を享受しない意志さえあれば、自給自足、粗末だが飢えはしない。
日本の農業は世界最先端で、真冬にイチゴやトマトを楽しめるが、従事者は1%以下、こんな私に誰がした~~♪
ハシビロコウさま、有り難うございます。
江戸時代の日本の飢饉、フランス革命も実は気候変動が元になっていたと言う話しですが、こうした事を近代の人たちは忘れているのではないかと思います。
何でも人間で出来る訳では無く、今も人間は気候の支配下に在る。
この事を忘れてはならないだろうと思います。
コメント、有り難うございました。