第二章「気象と社会」

また、妙な話だが、こうした気象災害が頻発する時期は政治の混乱も発生してくる。
1987年にはソビエトが崩壊を始め、1989年1月20日には第1期ブッシュ政権が誕生し、1990年アメリカはイラクのクウェート侵攻に伴って湾岸地域にアメリカ軍の派兵を始め、その翌年1991年には湾岸戦争が勃発しているが、1989年にはイラン革命の指導者ホメイニがやはり死去、イランもここに変革の時期を迎えていた。
.
更に日本ではその激動の幅は大きく、1990年、湾岸紛争の始まりに伴ってバブル経済は崩壊、1993年には非自民連立内閣、細川政権が誕生するも翌年には崩壊、今度は羽田孜内閣が組閣されるが、これが2ヶ月の短命政権に終わり、ついで社会党と自民党連立と言う信じられない連立が起こり、社会党の村山富市内閣が成立するが、翌年に発生した阪神淡路大地震の対応のまずさから、この政権も崩壊する。
.
地震と気象には綿密な関係が有り、例えば台風が接近してくる地方と、翌日に震度4以上の地震が発生する地域は、前日の夕日に同じ兆候を示すときがある。
この現象は空気に色が付いて見える現象だが、台風が翌日通過する地域は、その前日の夕日が異様にピンク、若しくは紫がかって見えたり、時には黄色がかかって見えるときがあり、これは大きな低気圧でも同じことがある。
.
これと同じように、翌日震度4以上の地震が発生する地域でも前日の夕日が異様に赤かったり、またはピンクや紫がかって見えることが多い。
そして気温、一般に低気圧が接近する場合は南から暖かい空気を引き込んで気温が上昇する地域が出るが、地震の場合も比較的温度が高くなってから発生することが多く、また地震は天気の良い日に起こる地震は大きくなる傾向にあり、なおかつ風がない日や、風が止まった状態の時に大きな地震が起こりやすい。
.
こうしたことから少し話は逸れたが、気象に変動のある時は政治的にも経済的にも変動が起こる場合が多く、またこうした時期には、予想外に大きな地震も発生する確率が高くなっている。
.
気象の変化は波を描いている。
そこにはたとえ上昇するにしても、高くなったり低くなったりを繰り返しながら、平均で気温が上昇していくモジュールが見て取れるが、一般的な見方として、やはり1987年から世界の気象はその激しさを増してきているように見える。
これは何を意味しているか、日本を例に取れば分りやすいが、1993年は大変な冷夏で作物の不足が深刻な問題になったが、では翌年はと言うと、1994年夏は大干ばつと猛暑に見舞われ、この年はビールを含む飲料水と氷菓子だけで1兆円も内需が押し上がった。
.
つまり、1年ぐらいは寒い気候があっても何等おかしい訳ではなく、こうした気温の上下は、気象的にはそのサイクルの範囲だと言うことだ。
しかし、こうした気温や気象の激しい変化をもう少し長期的に見れば、将来的な平均気温の上昇を予見させるものがそこに存在しているように見え、この点に措いては今後1万5000年は続くと見られている間氷期の温暖な気候の中にあると見られるが、激しい気象の変動は、もしかしたらかなり急激な気温上昇を伴うかも知れず、その山の高ければ、その谷もまた深しであり、この場合の谷、つまり寒さも或いは予測の付かないほど深いものとなる可能性も否定できない。
.
またここ数年起こっている生物界の変化、海草もそうだが、深海魚の目撃例の異常な増加、蜜蜂の減少、またスズメの異常減少などは、気象との関連は不明だが、これらが意味しているものがあるとすれば、それは或いは、人間が漠然とでも予見し得る範囲の気象サイクルを超えた、地球的規模のサイクルが近づいているのかも知れず、この場合人類は、その存亡をかけて立ち向かわなければならない時を迎えるだろう。
.
ちなみに1994年夏、この年は干ばつからスイカが不作となり、なお暑さからその需要が増えて、スイカ1個が一番高いときで6000円になったが、この年から従来までは4つ切りで販売していた切りスイカが6つ切りになり、しかもその一切れが安いところでも900円だった・・・。
T・asada
このブログの記事は「夏未夕 漆綾」第二席下地職人「浅田 正」 (表示名T・asada)が執筆しております。

2件のコメント

  1. 「ケチの極意」1~4

    旅行でも買い物でも日常でも、そばに貧乏神と富裕神が、勝手な意見を言い、やや貧乏神優勢、最近は効率神と無駄神が意見を言い、無駄神が優勢、そこに無責任な中間神がはまって、話をややこしくしている。

    実は先月、東京国立博物館で、東寺展を見て、売店で風神雷神人形を見つけて、一旦買うつもりで掴んだが、高価であったし、相応しい飾り棚も無しで諦めたが、後ろ髪を引かれた、友達に教えたら、『最近は、物に執着してはいけないとか言っているのが風潮だけれど、私は、余りそんなに拘らなくていいんじゃないのかと思う。欲しいモノがあれば、手に入れたっていいのではないか。』
    んん~~ん

    小林一茶「はだかにて 生まれてきたに 何不足」
    イワンは、出来るだけ広い土地を入手するために、全精力を傾けて標を付けたが、亡く成ってしまえば、必要な土地は、自分の身を横たえることができだけの広さが、有れば十分だった。

    生きているだけで丸儲け、って言うのも有るが、これ以上損をしたくない連中は、死ぬのが一番だ、それより損得の彼岸。

    1. ハシビロコウさま、有り難うございます。

      たまにはこうした話も面白いだろうと思って書いたものでしたが、シリーズ化したかったのですが、他にも書きたいことが多すぎて、これだけになってしまいました。

      コメント、有り難うございました。

現在コメントは受け付けていません。