「うかつな言葉」・Ⅱ

実は中国は近隣諸国と領海や領土をめぐって沢山の問題を抱えているが、現段階でも中国軍はこれを軍事的に解決する能力がある。

しかしこれに対してはアメリカの力が有る限り、そう強引なことが出来ず、実際にアメリカ本土上陸が可能な軍事能力を身に付けることで、アジアの島の一つや二つ占拠しても、アメリカが緊張状態を考慮して譲歩するようにしておきたいと言う思惑がある。

それゆえ中国軍はやがてインド洋や伊豆諸島、パプアニューギニア、マリアナ諸島に及ぶ西太平洋にまで行動範囲を広げようとしていることは自明の理であり、また中国が最南端の海南島に建設している、弾道ミサイル搭載可能な原子力潜水艦の新基地については既に完成しており、これによって中国軍は南シナ海にまで潜水艦で航行できるようになって来ている。

更にここ近年緊張が解けたかに見える台湾との関係だが、こちらもその友好的なムードとは裏腹に、2009年末の段階でも、台湾に向けて1050発から1150発の短距離弾道ミサイルが配備されていて、台湾に対する軍事力は全く削減されていない。

そして2010年9月7日、尖閣諸島久場島付近で起こった、中国漁船の日本の海上保安庁巡視船に対する妨害行為だが、これはある種中国の策略の一つで、これまでの中国の動きを見れば、この事件は起こるべくして起きていると言えるだろう。

尖閣諸島付近の海底には大量の天然ガスが埋蔵されていること、それにこれから中国が太平洋に展開するためには、尖閣諸島はどうしても押さえて置きたいところだった。

またこうした時期について、そのきっかけがあるのだが、それがアメリカと日本のリーダーの発言にある。

尖閣諸島は日本の行政施政権の中にあり、有事の際には日米安保条約によって、アメリカが防衛義務を負う事になっている日本領だが、アメリカのオバマ大統領は経済発展著しい中国に配慮し、尖閣諸島が日米安保条約の適応対象であるとは明言しない方針を採ってきていて、実際にガス田開発に伴う日本と中国の尖閣諸島の領有権問題には、直接関与しない方針を表明してしまった。

これは原則日米同盟に対する明確な違反であり、場合によっては日米同盟を日本側から解消するに値するほどの重要な案件なのだが、それを無視して同盟国である合衆国大統領自らが、尖閣諸島の日本領有を否定してしまった結果となった。

その上2010年5月には、当時日本の「鳩山由紀夫」内閣総理大臣が、このオバマ大統領の発言を擁護しようとして、全国知事会議で尖閣諸島領有問題は「日中間で議論して結論を見出して貰いたいと言うことだと理解している」と、全く他人事のような発言をしてしまったのである。

これは事実上、尖閣諸島を巡っては日本と中国が同等の権利を持っていると、アメリカの大統領と日本の総理が認めたことになり、ついでにアメリカはここで何が起こっても手を出さないとまで約束した訳だから、結果として中国の印象としてどうなったかと言うと、では尖閣諸島は中国の物だな・・・と言う結論にしかならないのである。

だから中国はそれを、アメリカ大統領と日本の総理の言葉を確かめるために、今回の事件を仕組んだのであり、この尖閣諸島の漁船衝突問題は中国の策略であると発表したアメリカ国防省などは、同時にこの事件の原因の一番最たる要因は、合衆国大統領の同盟違反発言にあったこともまた、認めなければならないところなのであり、うかつにもこうした合衆国大統領の発言を擁護した鳩山元総理の責任は、限りなく重大なのである。

それゆえ今頃になって民主党の前原外務大臣が「日本と中国で領土問題など存在していない」と発言しても、これは既に手遅れなのであり、中国にして見れば合衆国大統領と、日本の前総理が認めたものを新米の外務大臣が何を言うか・・・、ぐらいにしか聞こえないはずである。

あまりこうしたことを記事にする者は少ないかも知れないが、今回の尖閣諸島問題、その引き金は日米双方の軽薄なトップの発言に原因があったと私は分析する。

そしてこの事件で得をする国が2つある。

一つの国はこれで尖閣諸島が手に入るかも知れない中国、そしてもう一つの国はこうした極東アジアの適度な緊張のおかげで同盟が重要視され、沖縄の基地問題の譲歩を日本国民に納得させることが出来、基地存続やそれに伴う「思いやり予算」まで獲得できるかも知れない、アメリカ合衆国と言う国だが、これを考えると、もしかしたらオバマ大統領の軽率な発言は計算されたものであった可能性も、否定できるものではないかも知れない。

また一見大変なことのように見える今回の事件だが、実は堅いことを言わねば意外に簡単な平和的解決方法がある。

 

 

 

T・asada
このブログの記事は「夏未夕 漆綾」第二席下地職人「浅田 正」 (表示名T・asada)が執筆しております。

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