「未来への投資」・Ⅰ

GDP(gross domestic product)とは「国内総生産」を指すが、例えば農家がジャガイモを作ったとして、その合計の売上額が10億円だったとしよう。

この10億円のジャガイモを、加工業者がポテトチップスにして全国の小売店へ売った金額の合計が30億円、そしてこうした業者からポテトチップスを仕入れて、日本全国の小売店が1年間に販売したポテトチップスの代金の合計が、40億円だった場合、GDP「国内総生産」は農家が得た収入の10億円、チップスにした業者の収入30億円、それに小売店が売り上げた金額の40億円の合計、つまり80億円になるのかと言えばそうではない。

GDP「国内総生産」を算出する場合、いわゆるジャガイモの代金は既にポテトチップスの業者の価格に含まれ、ポテトチップスの業者の代金は既に小売業者の価格に含まれることから、GDPで算出される額は、最終販売価格の40億円と言う事になり、これはサービス業でも同じである。

すなわちGDPとはその国内に措いて販売された、全ての商品やサービスの最終売価の合計と言うことである。

そしてGDPとはその国内に措いて生産されたものの合計だが、実際には日本の企業でも海外進出をしている企業もあり、また貿易業者も存在する事から、領土的な枠組みではなく日本人と言う枠組みでは、海外で日本や日本人が何かを経営して得た利益もまた日本の生産と言え、この反対に日本国内で外国人が得た利益は、海外における日本人の利益も日本の利益と看做されるなら、日本に措いて外国人が出した利益もまた、日本の利益から除外されなければならず、この観点から求められた日本及び日本人の総生産額をGNP(gross national product)「国民総生産」と呼ぶ。

つまりGDPとは日本の領土に措ける総生産額であり、GNPは日本民族としての総生産のことである。

さて今夜はこの内GDP「国内総生産」を元に、世界各国のあらゆる面を比較した統計から、来るべき日本の未来、つまり教育と言うものを見てみようか・・・。

国家の政策に措いてその政策の順位は、原則として事の緊急性によってその順位が決まるが、例えば経済対策や金融対策、年金、保険制度などは、行き詰れば次の日から国民生活は混乱する。

だが緊急性の無いもの、つまりは未来に対する投資は、どうしても後回しになることから、基本的にその国家に国力が存在するか否かは、軍事力よりもむしろ、教育や科学技術にどれだけの予算が使えているかで測ることもできる。

こうした観点から2010年9月7日(日本時間)、OECD「世界経済協力開発機構」によって、加盟している各国のGDPに占める公的資金の教育支出割合の統計が発表されたが、その結果は日本に大変厳しい現実を突きつける結果となった。

この統計は2007年度の各国の統計になるが、それによると日本は2006年度の統計から全く変わらず、国内総生産に占める教育関連支出額の比率は3・3%で、データとして比較できる28カ国の中では最下位の支出国、すなわち世界で最も教育に関して国家が無関心な国、いわんや国力の無い国となっているのである。

この統計では2003年、2005年が最下位、2004年、2006年がそれぞれワースト1ではなかったものの・ブービー賞を日本が頂いているが、実に的確に日本の実情を反映していると言える。

ちなみにこの統計による各国の国内総生産に占める教育支出割合は平均5%、今回の調査では世界経済の悪化が影響したものと見られることから平均値は4.8%となっているが、それでもトップのアイスランドの7・0%の数字を鑑みるに、苦しい経済の中で教育にこれだけの割合を支出する、同国の未来に対する意気込みは尊敬に値するものだ。

そして2位はデンマーク6・6%、3位はスウェーデンの6・1%と続くが、昨年の統計と同じように北欧地域がこの統計の上位を独占、下位は日本の最下位、スロバキアの3・4%、チリの3・7%と言う具合になっている。

またこうした支出の教育段階別統計によると、日本に措ける初等中等教育、つまり小学校から高校までの教育機関だが、これに対する支出が2・5%でチェコスロバキアと並んで下から2番目、大学や専門学校などの高等教育機関に対する支出も0・5%と、こちらも下から数えて2番目であり、同数字はやはり各国平均の半分の数字である。

「未来への投資」Ⅱに続く

※ 本文は2010年10月1日、Yahooブログに掲載した記事を再掲載しています。

 

T・asada
このブログの記事は「夏未夕 漆綾」第二席下地職人「浅田 正」 (表示名T・asada)が執筆しております。