「三浦半島の異臭騒ぎは南海地震???」

2020年6月4日、三浦半島で正体不明の異臭騒ぎが発生した。

これに対してNEWSポストセブン配信の記事中、某大学教授が南海地震、それもスーパー南海地震に関連しているとする記事を寄稿しているが、報道を自負する団体としては、いささか悲しいものが有る。

南海地震は発生すれば全てがスーパーにしかならない。

スーパー地震以外の規模は無いのであり、この点でスーパー南海地震と言う表現を使っている事自体、地震研究の程度が知れるものだし、第一この教授は環太平洋文明研究の特別任命教授で有り、理学、物理、地球物理学、地層学などの知識が無い。

しかも高々20年ほど、アマチュアで少ない経験から統計を導き出したような事で、このような事を発言しては、社会に必要のない不安を与える事にしかならない。

火山性地震の場合、或いはプレート地震でも、過去の記録から異臭がする場合と、そうではないケースも存在する。一般的に硫黄などは強烈な臭いがすると思われているが、実は硫黄単体だと臭いは全くない。

硫黄臭だと思われている物の正体は、一緒に出ている硫化水素の臭いなのである。

それゆえ火山性地震、プレート地震でも単に広範囲に異臭がする事をして地震活動が活発化しているとは言えない。

むしろ異臭の原因は海水面や湖に発生したプランクトンの腐臭、硫化水素臭の可能性の方が高く、これを排除していきなり「スーパー南海地震」の可能性と言われれば、しっかり研究を続けている者からすれば苦笑いしかできない。

到底研究者と言う同じステージに立てる状態ではない者を、地震研究の一人者として紹介、記事を掲載するなど以の他である。

読者を増やしたいと思う気持ちが、目の前に広がっている現実を歪め、判断を誤らせているのだろうが、これでは読者は減るのではないか・・・。

過去1000年の統計でも火山性地震、噴火活動に伴う異臭の記録は存在するが、プレート地震での異臭騒ぎはもっぱら「水」である。

地下水や湧き水の水位変化に伴って、水が異臭を発したと言う記録は多いが、南海地震での空気臭の変化の記録は殆ど残っていない。

それゆえ、例え地震でも南海、東南海には多くの海底火山が存在する為、これらの火山活動が南海地震に連動する確率は3回に1回で有り、本来火山性地震と南海地震は区別する事ができるほど、連動に規則性が見られない。

むしろ三浦半島と言う地理的な条件から1923年の例を考えるなら、関東方面に大きな地震が発生する確率の方が高いが、この場合は千葉県、茨木県、栃木県などで3か月に300回以上の微震が発生するか、或いは3か月間全く微震すらない状態のどちらかである。

つまり大きな地震の場合、前兆現象は微震が連続するケースと、静穏状態の2種が存在すると言う事で有り、その確率は50%ずつである。

唯小さな地震が多くなったと言うだけで、しかも南海地震に繋げるのは如何なものかと言う気がする。

虚栄心と金の追われた者が集まると、こう言う結果になると言う見本のような気もするが、それによって唯ですらウィルス騒動で不安が増している日本社会に、余計な不安を与えてはならない。

南海地震の予知は、どれだけ頑張っても発生前1週間が限度で有り、これ以上早く予知した場合は外れる確率も高くなる。

地震予知は直前の前兆現象の複合発生に拠って可能性が出るのであり、ポストセブンに掲載されているようなぬるい記事では、逆に疑問符が連続する事になる。

T・asada
このブログの記事は「夏未夕 漆綾」第二席下地職人「浅田 正」 (表示名T・asada)が執筆しております。