「台風の中心気圧」

台風が発生するその動機は「寒気」だと言われている。

熱帯の海上に現れるごく小さな寒気に拠って生じる気圧差を卵として生じる低気圧、これが熱帯低気圧となり、温められた海面から生じる水蒸気をエネルギーとして発達した低気圧の形、これを日本では台風と表現する。

2020年9月2日に太平洋上で熱帯低気圧から台風へと勢力を拡大した「台風10号」この中心気圧は915hpまで低下し、さほど勢力を落さず九州西岸を北へ向かって、かすめて行く可能性が高い。

暴風域は280km、強風域は500km、通常台風の風速域は半径で表現されるから、この台風は暴風圏500km、台風の全体像としては1000kmに及ぶ、巨大勢力の台風と言える。

単純に中心気圧だけを取るなら、これまでも海上では900hpを下回る気圧の台風も存在した。

1979年10月6日に発生した台風20号は、その後10月12日、沖ノ鳥島南東海上で870hpまで中心気圧を下げ、日本に上陸した時で965hp、そこから温帯低気圧になって、オホーツク海上で950hpにまでまた気圧を下げた。

これだけではなく、日本が戦後気象観測を開始した1950年以降でも、900hp以下の中心気圧まで発達した台風は12個も存在する。

ちなみに沖ノ鳥島で870hpを観測した台風20号の気圧は、ハリーケーン、サイクロン、台風など、あらゆる低気圧中で最も低い中心気圧であるとされていて、いわば地球最強の低気圧だった。

今般2020年9月2日発生した台風10号、これが大きな勢力となった原因に付き、気象庁、他一般気象予報士は、日本近海の海水温の高さを最大要因と解説するが、例えば前出の台風20号が発生したのは10月である。

また地球温暖化の影響を唱える者も多いが、1950年以降で中心気圧が900hp以下にまで発達した台風のほとんどが、1980年以前に発生している。

この事から台風の勢力拡大の要因として、確かに海水温の高さはその一つの要因では有るが、これだけでは無い事を認識しておく必要が有る。

低気圧の勢力、エネルギーの本質は「拡大する速度」の影響が大きい事を憶えておくと良いだろう。

また一概に地球温暖化に拠って台風が巨大化しているのではなく、統計を見ても解るように1950年から1975年の25年間に集中して、900hp以下の低気圧が発生している事から、台風の勢力が大きくなる傾向は地球温暖化以外の要因を持っている事は明白な訳である。

こうして日本近海の海水温が上昇してくる原因は、地球温暖化や気温の高さより、むしろ海流や海の中深部、深層部に何らかの変化が出てきている可能性を考える必要が有り、特に北海道付近にここ数年停滞している暖水域などを考えるなら、大規模な地殻と地球表層部付近の変化が、発生し始めている可能性を排除してはならないと思う。

では気象庁門前払い、識者嘲笑の素人気象研究人の台風10号予測を始めよう。

台風10号は気象庁の予測通り進んでいく。

おそらく西の海上を北へ縦に上がって行く形になる為、九州全域と愛媛県西部、山口県西部が暴風圏航行危険半径に入る。

台風が九州に接近時の中心気圧は935hp、九州西岸を通過しきった時期でも960hpくらいの勢力を維持し、この間中心付近の平均風速は55mm/秒、最大瞬間風速は75m/秒を記録する。

この範囲が九州全土と愛媛県西部、山口県西部に及ぶ。

風の強い状態は、暴風圏に入ってから少し風が収まるまでに16時間、木造家屋は全壊に至らなくても、70%程で屋根が吹き飛ぶ、ガラスが割れるなどの被害を被る。

この為、九州で木造家屋に住んでおられる方は、9月6日3時までに貴重品を持って、鉄筋コンクリートの施設、或いは知人親戚などの家屋へ避難する必要が有ります。

こうした場合、政府は実際に被害が出ていなくても「緊急事態宣言」を出して、住民を安全な場所へ避難させる措置を取る事が望ましい。

また電柱は殆どが倒れるか、傾斜する可能性が有り、電気、ガス、水道のライフラインは甚大な被害を被り、最短でも4日くらいは使えなくなる可能性が有り、単体、若しくは少ない数で立っている木は、南西方向に開けている地域では全て倒壊するか、折れる。

南、南西に山が無い地域、橋の上では10トントラックでも横転し、一般的な乗用車は横転して飛ばされる。

この為、南西方向に山が見える所、或いは大きな鉄筋の建物の影に移動しておく必要が有るが、周囲の建物が密集している場所では、逆に煽り風でひっくり返される事から注意する。

自転車などは屋内に入れておかないと、後に交通障害の元になり、台風通過後の市街地道路は、落ちた瓦や屋根材が散乱して自動車の通行ができなくなる。

同様の事は主要幹線道、国道でも発生し、飛ばされた建物などに拠って塞がれた道路は、倒壊した樹木などと同様、撤去作業が終わるまで、自動車が通行できる範囲は限られたものになる。

コロナウィルス感染リスクと緊急避難措置は両立しない。

ウィルス感染は後に治療の余地は在るが、避難を怠って死亡したりし、後遺障害を被る恐れが有る場合は、ウィルス感染阻止を優先してはならない。

行政機関、消防や警察機構も暴風圏航行危険範囲に入っている時は、外へ出てはならない。

二次災害や二次被災に拠って被害を大きくするだけになる。

人命は尊いが、妻や子供の事を考えて耐えるしかない。

商業施設では、屋根が全て飛ばされた状態を想定して、商品や機材を頑丈な壁面付近に集めて保管し、南から西の方角に有るガラスには全て板を打ち付けるか、或いはビニールテープなどを貼って補強しておくことが望ましい。

台風通過後は大きな施設で残っている所を基地にして、そうした基地の数を増やしながらそこへ救援物資や医療品を供給する仕組みを取る事が望まれる。

更に台風の右後方には雨の領域が出易い事から、強風域の右下、場所的には関西から関東までの範囲で大きな雨が降り易く、この地域は水害に供える必要が有り、同様に台風の右後方には竜巻が発生し易い。

関西から岡山、広島、島根、鳥取、四国の太平洋側では竜巻にも警戒しておく必要が有る。

日本の木造建築物の瓦が飛散する限界風速は最高でも57m/秒で有り、ガルバリウム鋼板、トタン屋根の強度はこれより低い。

また90cm×90cm以上の面積がある窓は、例えアルミサッシでも、60m/秒以上の風に耐えられるかどうかは解らない。

台風内部では、これまでに調査した被害傾向から、例えば中心気圧が960hp程でも、細かい竜巻が発生しているケースが多く見られ、台風通過中は高潮の恐れも出て来る。

それゆえ、勢力が少しばかり弱まったと言っても、警戒を怠らないようお願いします。

天の禍に対しては、最大限の準備をしたら、後は祈るしか有りませんが、どうか誰も命を失わないように・・・・。

T・asada
このブログの記事は「夏未夕 漆綾」第二席下地職人「浅田 正」 (表示名T・asada)が執筆しております。