「パンドラの箱」・Ⅲ

しかしこうした傾向は政府や公的機関にとっては、まことに衝撃的だった。
これまでの秩序を乱すことは絶対許すことはできず、従って「ウィキリークス」創始者「ジュリアン・アサンジ」は、何とかして逮捕し、今後同じ者が現れないように見せしめを行わなければならないのである。

だが合衆国政府には気の毒だが、どうもこのジュリアン・アサンジと言う男は、「パンドラの箱」を開けてしまったのではないだろうか。

恐らく彼の行動のその良し悪しが評価されるのは、今の時代では無理に違いない。
5年後、10年後に初めてその意味が分かるのではないかと思われるが、彼はこれからの情報と言うもの、国家や団体が持つ情報と言うものの有り様、そして国民の知る権利との関係に措いて、全く未知の扉を開いてしまった感がある。

堕落し、その機能を失った現代の報道から生まれてきたものは、最も過激な報道のありようだった。
現在世界の報道機関は、出口の見えない重い課題を突きつけられている違いない。
ジュリアン・アサンジ氏を擁護するのか、それとも報道の敵として扱うのか、ここで悩んでいることだろう。

「ジュリアン・アサンジ」、彼は全く正体不明の男だが、本人の言によれば1970年、クィーンズランドで生まれたと言うことになっているが、母親へのインタビューから推測される彼の生誕年は、1971年となっていてどちらが正しいのかは不明。

日本で言うところの旅芸人を生業としていた両親から生まれたが、彼が恐らく6歳か7歳の時に両親は離婚、その後1979年には母親がカルト教団に所属する音楽家と再婚し、アサンジ氏の弟を出産する。

しかし1982年、この音楽家とも母親は離婚し、その後アサンジ氏の弟の親権を巡り、母親とこの音楽家はトラブルになってしまったことから、以降この元義父に追われることになり、5、6年間、アサンジ氏と彼の弟、それに母親は見つかったら殺される恐怖に晒されながら逃亡生活を続けることになる。

その間繰り返された住所の変更は40箇所近くと言われている。

従ってアサンジ氏は学校教育を受けておらず、母親が家庭教師となって教育を施したとされているが、この母親はその生活環境からか、一貫して政府や公的機関は民間の搾取機関であるとの方針を持っていたらしい。

1987年、アサンジ氏はこの母親の元から逃亡、それと前後して(International Subversives)「国際的危険分子」と言うハッカー集団に所属しているが、彼がコンピューターの造詣を深めたのは、母親と一緒に逃亡していた時、斜め向かいにあった電気店へ通いつめてのことだったとも言われている。

また彼は3年間メルボルン大学にも所属しているが、ここで彼は物理学、数学を専攻し、またこの他に脳科学なども学んだと言われているが、その殆どは独学であったにも拘らず、成績は大変優秀だった。

それにアサンジ氏はフリーソフトの開発も行っているが、16歳から始まったインターネットのハッカー行為では、その逮捕歴が少なくとも3回、裁判上立証されなかったものを含めると、十数回の公的機関へのハッカー行為を行っていたとされている。

彼は1989年から同棲状態だった女性との間に、男の子を1人もうけているが、1992年から別離状態、最近は、2010年にアメリカの公文書公開以降CIA「アメリカ中央情報局」から追われていたと見られ、こうした経緯から、内部告発保護の精神が徹底しているスウェーデンに移り住んでいたが、ここで2人の女性と二重交際していたとも、あるいは避妊を巡って相互に認識の違いがあったともされているが、とにかく2人の女性とトラブルになったようだ。

そして現在こうした女性たちの訴え「強姦罪」で、ICPO「インターポール」から国際指名手配を受けていたアサンジ氏は、スコットランドヤード警察に出頭して逮捕されているが、この罪状でのインターポールの指名手配も珍しいが、それよりもスウェーデンの女性2名は、「強姦罪」ではない理由で彼を訴えている点を考えるなら、アサンジ氏が「アルジャジーラ」で語った「これはアメリカの陰謀だ」と言う説も、あながち全くデタラメとも言えないような気がする。

ちなみにアメリカ政府は、アサンジ氏をスパイ罪で立件することを視野に入れているようだが、「こんな奴は数十年は監獄にぶち込んでやらないと・・・」と言うようなアメリカの態度に対して、では国民の、世界の民衆の知る権利はどうなるのか、独裁国家を除くあらゆる国家の憲法で保障されている報道の自由に対して、これを最も尊重する国家としてのアメリカの威信と、アメリカ政府の威信は、どちらの威信が重要なのか、そのことをアメリカだけではなく、全ての報道メディアは考えなければならないだろう。

「ジュリアン・アサンジ」、私は彼と面識はないが、そのどこかでこの人間の「軽さ」を感じながらも、コンピューターと言う仮想空間に措ける彼の狂気の質に、その軽さゆえの恐ろしさを感じるのであり、またどこかで自分と同じ匂いも感じてしまうのである。

※ 本文は2010年12月11日、Yahooブログに掲載した記事を再掲載しています。

T・asada
このブログの記事は「夏未夕 漆綾」第二席下地職人「浅田 正」 (表示名T・asada)が執筆しております。

2件のコメント

  1. 「パンドラの箱」I・II・III

    アメリカは変容させて「マニュフェスト・ディスティニー」と同じことを世界に広げて世界征服を企んでいる、当時は北アメリカの土地と富であったが、今は対象が全世界、取り敢えずは埋蔵資源。

    100年前に1人の政治主導者が中央ヨーロッパに出現して、世界大戦がはじまったが、日本は同盟の相手を間違って、開闢以来の一敗地に塗れたが、結果は、旧世界を支配していた大国が全ての植民地を失い、戦争ばかりしているが、領土的野心は比較的希薄な、アメリカ合衆国が世界を征服する道を拓いた、日本は付いていけばよい(笑い)
    その指導者が出てから、約100年経って、北ヨーロッパから、若い狂気の指導者が出て、地球温暖化防止に奔走しているが、これに同盟した国には、破壊と疲弊を招くが、敵対している合衆国を側面から応援している様なものだ。パンドラの箱から最後に出たものは、世界征服の希望でアメリカに取りついた(笑い)

    1. ハシビロコウ様、有り難うございます。

      この事件は当時世界中に衝撃を与えた事件でしたが、当事者の怪しさと合衆国の怪しさが相まって、非常に微妙な経緯を辿った経緯が有ります。
      一体合衆国はどこまでやっていたのか、また世界各国の首脳部は何をやっているのかと言う事ですが、こうして余りにもセコイ事をしていると、その心の卑しさから人の心までも卑しいと思い恐れ、猜疑心から心がどんどん狭くなり、やればやるほど恐れも比例して増えてくる。
      妄想で敵を大きくして引き返せなくなる。
      これが世界の実情なのかも知れません。
      それに比して日本の平和さ加減は、もはや世界遺産級のそれであり、本当にお花畑で踊っているようなものかも知れません。
      実は現状を考えるなら、日本は非常事態ですが、全く平和そのもので、これはこれで有る意味幸せなのかも知れませんね。

      コメント、有り難うございました。

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