「太陽が・・・」

太陽が1秒間に放出するエネルギーは灯油に換算すると、1億トンの更に100万倍の燃焼熱に等しく、地球に対する効果としては、地表1平方センチメートルの面積に対し、60秒間に2calのエネルギーを供給している事になり、その表面温度は5800度K、中心付近の温度は15500000度Kに達し、通常では太陽表面に見える「黒点」の数が多い時ほど太陽の活動は活発になっている。

黒点は2000ガウスから4000ガウスの強力な磁場で、太陽表面温度の平均が5800度から6000度なのに対し、4000度くらいと周囲より温度が低く、これは太陽中心部から対流によって運ばれる熱を遮っている為で有るが、この黒点の活動には11年の周期が有り、11年ごとに黒点磁場の極性は逆転し、従って黒点磁場の極性は22年で1週する。

また太陽は地球時間の約27日周期で自転しているが、この自転は太陽系の他の惑星でも同じように厳密には安定しておらず、自転速度変化には超周期変動の他、代表的なものでは110年周期が予測され、こうした周期ごとに早くなったり減速したりを繰り返している。

そして太陽のエネルギー的活動と黒点には密接な関係が有り、太陽の黒点が増加している時は太陽の活動が活発化している事から、この時期を「極太期」と呼び、逆に黒点が少なく太陽の活動が低調な時期を「極小期」と呼ぶが、この周期が11年ごとの極性逆転で22年周期になっていて、黒点の少ない時期と地球の寒冷化は符合する。

地球の気温は地表に有る雲や氷河雪原による太陽光反射率、CO2に代表される温室効果ガスの空気中含有率、ミランコビッチ・サイクルと呼ばれる地球の自転軸の変化による周期変化、或いはカオス理論によるところの10万年程の周期変動などが存在するが、こうした周期には例外も存在し、必ずしも確定的な周期ではない。

気象学的には統計的な平均気温は存在するが、そもそもこうした統計学的な平均気温は厳密には存在せず、地球の気温は常に波のような変動を繰り返していて、この中で気温の高かった部分を山とするなら、低かった部分が谷になり、この周期変動は波の形で有る事から、顕著な部分を頂点とした緩やかな曲線、若しくは急激な変動は関数座標系の反比例曲線を描きながら、常に変化している。

一般的に氷河期のサイクルは2万年、4万年、10万年の周期を持つが、2や4と言う数字の延長線上には8万年のサイクルも予想され、氷河が緩む時期を間氷期と呼ぶが、間氷期にも2000年、600年、300年、60年、30年の寒冷化周期が予想され、こうした時期に太陽の黒点数が減少している場合が多い。

10世紀から14世紀初頭、ヨーロッパの気候は温暖だった事が知られているが、その後14世紀後半から19世紀にかけては気温が低下し、1645年から1715年にかけて太陽の黒点活動は停止状態になり、この頃から世界的に寒冷化が深刻化すると共に、地球の火山活動が活発化、噴煙と自然気温の低下の相乗効果的寒冷化が始まって行く。

また解っているところでは紀元0年付近から300年、紀元後900年頃から1300年頃、そして19世紀以降の現代の3回の地球温暖化が存在し、その期間の中間は気温の谷、所謂寒冷化になっている事がわかっているが、この原因が何によるものかは解析できないものの、その内の記録が残っている部分では太陽の黒点活動の低下が符合していると言う事で有る。

カオス「混沌」の一つの傾向は「分散激化」や「濃度の両極化」に有る。

つまりこれはどう言う事かと言うと、例えば地球温暖化と言うこれまでの傾向に対する混沌は、単純に地球の平均気温が上昇すると言ったものではなく、片方で寒冷化が激化し、片方で温度上昇が激化すると言う事を示している。

事実過去の寒冷化記録は全て北半球のものだが、この時期南半球では何が起こっていたかと言うと、北半球で寒冷化が深化しているとき、南半球では比較的雨が多くなり水害が発生していた記録が残っている事であり、更に北半球で温暖化が進んだ時期に乾燥地帯が拡大したものと考えられている。

更にアメリカ国防総省が地球温暖化に関し、専門家に提言をまとめるように依頼した極秘文書中(2004年に流出)には、2009年頃から北半球の気温が低下し、2016年には一部で5度から6度低下し、最終的な北半球の気温低下は7度までに拡大するだろうと予想されていた。

人間はもしかしたら良くも悪くも自身を過大評価し続けて来たのかも知れない。

氷河期のサイクルであるミランコビッチ・サイクルよりも人類が発生させる地球温暖化ガスの方が影響が大きいだろうと言いながら、現在夏の気温上昇が激しく、しかも冬の到来が以前より早くなってきていて、この道60年と言う農業関係者の古老は50年ほど前はこうした寒さが普通だったが、その頃に戻ってきていると証言している。

また人間が排出していると思われたPM2・5などの大気汚染物質も、その原因が見られない関東平野で濃度が高くなった事例が出てきたが、火山の噴煙でも同物質の濃度上昇が確かめられるに至り、或いはCO2などの温室効果ガスの影響よりも、大きな自然原理の中で人類の僅かな悪事くらいでは影響されない大きな力が働いているかも知れない

カオス理論による混沌の速度ではフラクタル性(自己相似性)の出現が有る。

太陽の黒点周期は一部では株式相場、地震などの周期に関係するとされているが、混沌の概念の一つが「濃度の両極化」に有るなら、北半球の寒冷化や気象変動、砂漠地帯での水害の出現、或いは経済に措ける貧富の差の拡大など、その傾向はまさにバラバラで有りながら、どこかで「分離・激化」と言うフラクタル性がチラチラ透けて見えるような気がする。

不気味な青いLEDイルミネーションより、私は荒天に差す僅かな太陽の光を有り難く思う・・・。

[本文は2013年11月19日、Yahooブログに掲載した記事を再掲載しています]

T・asada
このブログの記事は「夏未夕 漆綾」第二席下地職人「浅田 正」 (表示名T・asada)が執筆しております。