「南海トラフ地震」

日本列島を物理的に表現する場合、国際社会の多くは「極東の弧状列島」と言う表現を用いる。

この背景は、ヨーロッパを起点として地理的位置が決められた歴史的な経緯が存在し、「ジパング伝説」等に拠って遥か東の国と言うイメージが定着し、今日に至っている為である。

また弧状列島と言う表現だが、丁度弓を置いた形に似ている事から、この形状的表現が用いられるようになったものの、厳密には円を左右に割って、左の半円が右の半円の下に繋がった形状と言える。

この事からも日本列島はフォッサマグナ「大地溝帯」で割れている事が見て取れるのだが、日本列島は日本海溝と南海トラフの、異なる方向を持つ海溝を持ち、それが大陸から圧された時、列島が折れてしまう原因になったものと推定されている。

ただ、どちらと言うと日本海溝付近は南海トラフよりは複数方向の圧力を受けている為、南海トラフよりは多くのストレスに晒されているものと考えられる。

2011年の東日本大震災以降、これまで用いられてきた日本列島付近の周期地震予測、統計は完全に崩壊してしまっているが、こうした日本列島の構造上、力学的な原理は変化していない。

2022年現在も多くの中規模地震が各地で発生しているが、日本列島の構造上の特性、力学的な原理から、以後日本列島に発生する大きな地震に付いて、予測して見よう・・・。

力学的な側面から、やはり一番早く、大きな圧力を受けるのは東北となる。

能登半島、京都等で連続している中規模、或いは小規模地震は、基本的に日本列島が受ける圧力の為、まず最初に細かくて弱い部分が揺れていると考えるのが妥当であり、この場合、京都では震度5以上の地震発生確率は低い。

また能登半島に群発している中規模、小規模地震の要因は2つ存在し、一つは珠洲市沖を走る気象庁非公認の断層だが、この断層のエネルギーは震度5強クラスが最大で有り、もう1つは新潟県中越沖に関連する揺れと考えられる。

中越沖から少し距離が遠い能登半島の中規模地震が、それよりは距離が若干近くなる揺れの影響を新潟県が受けている事から、珠洲市の先端で発生している地震と、それから少し内側に入った地震とは、そもそも発生経緯の違いがあるものと考えられる。

しかし、いずにしてもこれらの中規模群発地震はそれ以上大きな地震に発展する可能性は低く、むしろこうした地震が続いて東北に震度5強以上の地震発生と言う確率が高い。

更に力学的な部分から考えると、東北で震度5強以上の地震が発生して12カ月以内に南海トラフ、日本海溝のそれぞれの端である北海道、千島列島付近、九州南部に震度6を超える地震が発生する確率が高くなり、これが終わるかその途中で関東北部、東部で中規模地震が1、2年続き、関東平野、若しくは東南海で震度6以上の地震が発生し、この直後から南海トラフ地震が発生してくる確率が高くなる。

或いは東南海地震や関東平野地震より先に南海トラフ地震が発生する可能性もある。

いずれにしても順序としては東北で比較的大きな地震が2,3回発生し、その後九州南部、北海道東部、北部で震度6以上の地震が発生し、関東北部で震度3から4の地震が頻発し、関東平野に震度6以上の地震が発生し、その直後、若しくは2年以内に南海トラフ地震が発生すると言う形になる。

現在のところ、今まで発生した地震を元に、南海トラフ地震の発生時期を想定するなら、2038年を中心として前後5年くらいかと考えられるが、ここから逆算すると関東に大きな地震が発生するのは、早ければ2032年前後、その間5年前後は北関東に中規模地震が多く発生し、2028年までには九州南部、北海道東部、或いは千島列島が震度6以上の大地震に遭遇している可能性があり、2025年までには3回ほど東北が震度6、震度5強の地震に見舞われている可能性がある。

ただ、2038年とする南海トラフ地震の想定だが、2つほどの弱い根拠で想定している為、場合によってはもっと早くなる可能性を否定できるものではないが、いずれにしても東北、北海道、九州南部、北関東の中規模地震の頻発、関東平野地震、東南海地震、南海地トラフ地震と言う順序で発生する可能性が、他の可能性よりも高い。

少し前、気象庁は京都での地震を警戒するよう注意を発表したが、京都で震度4を超える地震発生の可能性は気象庁が考えるほど高くないものと思われ、能登半島で群発している中規模地震は今後1年くらいは続くものの、その後は収束する可能性が高い。

例え大きな地震に発展しても震度5強であり、ここで大きな被害を想定するより、確率は低いが中越沖、北海道南西部海域、東北日本海側の想定外地震を警戒するべきだろうと思う。

政府が1億総株式・・・とか馬と鹿な事を言っているが、元々株式はリスク分散の為にあらゆる可能性に投資する事を基本とする。

1億人全員が株式をやっていたのでは、リスク分散にはならない。

「多様性」こそがリスク分散なので有り、国民皆で失敗した時の事を考えない政府では、この先の経済政策は絶望的と言え、必ず経済的混乱期がやってくる。

そして大きな地震もこの時にやってくる・・・・。

 

T・asada
このブログの記事は「夏未夕 漆綾」第二席下地職人「浅田 正」 (表示名T・asada)が執筆しております。