「青い天上人」

時は文化13年(1812年頃)の江戸、9月とは言っても残暑きびしい毎日、寝苦しい夜が続いていたが、この年こうした暑さにはぴったりな、何とも不可思議な話が江戸の町をかけめぐり、両国橋に並ぶ茶屋はどこも夕涼みの客でいっぱいに...

「静かに走る馬」

見渡す限り雲一つない晴天、見事な松林を颯爽と駆け抜ける白馬、その馬上にはこれまた凛々しい将軍様・・・ご存知テレビドラマ「暴れん坊将軍」のオープニングだが、徳川吉宗をモデルにしたこの時代劇、実はこの時代ではあり得なかったも...

「古代の時間」

今の時代で時間と言えば、それは数字や一定の事柄が経過することをさすが、では古代の人々の時間の感覚は現代と同じものだったのだろうか。 例えば「日本書紀」、ここに「ニニギノミコト」が日向の地に天から降臨し、それから神武天皇が...

「ここにも天使がいる」

その記憶は非常に曖昧だが、ある夏の暑い日、恐らく4・5歳だった私は祖母に手を引かれ、ジリジリ照り付ける太陽の熱で逃げ水が走り、ゆらゆら陽炎が立っている道を歩いていた。 当時のこの辺の道路はまだコンクリートだったように思う...

「主と従」

神社でお供え物を乗せる際に使用する「三方」(さんぼう)などは、その上部盆状の構造が縁よりも底の板が外に出る構造になり、その下に高い台が付いているが、こうした構造は元々上部の盆状の構造と高い台が分離して使われていたものと言...