「器の格式」

お茶の世界では見た目より持った時軽く感じる「物」が良いものだとされるが、それは薄いと言うことであり、分厚い物より薄い物の方が作るのが難しいからである。 また古来よりのしきたりでは、四角い物は丸いものより高い地位にあること...

「弁当と弁当箱」

平安時代、旅をする時持ち歩かれた「干し飯」(ほしいい)は確かに日本の弁当の起源と言えるが、おにぎりは弁当として用いられていなかった。 この時代の主食である米の摂取形態は干した米、或いは蒸した米を水や湯で漬けた、水漬け、湯...

「食の意味」

「食」と言う漢字は倉庫に集められた良い穀物の「集」、穀物の良い香りの「香」の合字で、意味は代表的なものだけでも20以上存在し、一つの「観」を形成し得る広い範囲を持つ漢字だが、一般的に我々が認識している「食べる事」以外にも...

「しつづめ」

もしかしたら輪島塗の世界だけに限らなかったのかも知れないが、輪島塗の修行に入って最初に習得しなければならない作業の一つに「しつづめ」と言うものが有り、これは荷造り作業の事を指していた。 江戸時代の漆器納入方法は製作者本人...

「行商コミュニケーション」

私がまだ幼い頃、旧盆が過ぎた頃には越前(福井県)から稲刈り鎌を売る行商が来て、祖母などはそこから鎌を買っていたものだったが、稲刈りが終わると今度は越中(富山県)から行商が来て、米の収穫で多少とも懐が暖かくなった農家は、そ...