「塗師小刀・1」

輪島塗りの基本は下地塗り(したじぬり)に有って、従って仕上げである上塗りをする職人にしても必ず下地塗りの修行を終えている事が普通だった。 通常この下地塗りの弟子修行は3年、若しくは4年で、お礼奉公が1年から2年と言う具合...

「塗料としての漆」

漆の価格は変動相場制であり、その価格決定の最大の要因は中国での生産状況や、やはり中国政府の政策に起因する。 こうした事情から過去、輪島などの漆器生産地では中国の漆生産に対し、日本政府から補助を受けて支援する制度が存在した...

「雇用の一線」

昭和50年(1975年)には販売も含めると、毎年70名前後の新規就業者が存在した輪島塗の世界だが、これが10年後には半減し、更に10年後の1995年には輪島塗関係の求人がほぼ0になってしまっていた。 しかし一方でバブル経...

「夏の器」

塗師屋(ぬしや)と言う組織には「筆頭職」(ひっとうしょく)と言う立場が有って、これは通常ならその塗師屋の一番弟子で、修行期間である年季明けが終わった者が、他の塗師屋でも働いて経験を積み年齢を得て、もとの塗師屋で指導的立場...