「月を切り取る」

輪島塗の基本である下地付けに最も近いものは左官職人の壁塗りになるが、輪島塗の場合は立面では無い事、塗る面積が左官職人の領域ほど広くない事から、下地材を押さえる道具はコテではなくヘラになり、このヘラは30cm未満の直角三角...

「塗装工と言う誇り」

もう20年近く前になるだろうか、仕事で某和紙産地の作家と共同製作品を作る機会が有り、私は細い紙の帯を朱や緑などの漆で拭いて、それを編み上げて敷物を作ったが、これに和紙作家が意匠を加えたと言う事で仕上がりを楽しみしていた所...

「f分の1で息を吐く」

肺の容積の85%を占め、成人一人当たりの総表面積が100平方メートルにも達する「肺胞」の機能は、静止している状態ではない事から、常に微弱な収縮と拡大を繰り返しているが、平均値は存在し、従ってこの平均値を最も安定した状態と...

「強度の危弱性」

  「砥の粉」の産地で歴史が有るのは京都山科だが、元々砥の粉はこれを水で溶いて木材などの表面を拭くと、木材が白く見える、或いはその表面のきめが細かく見える事から建築などに利用される部分が多かった。 それゆえ大き...

「紙と漆の関係」

紙の躯体で漆器を作る場合、漆を塗る者としてはどうしても完全に水の浸入を防ぎ、そしていつまでもそれが漆器で有り続ける事を考えてしまうが、この世界で永遠に存在し続ける物など有り得ず、木製の漆器でもその使用頻度によっては1年と...