「夏の器」

塗師屋(ぬしや)と言う組織には「筆頭職」(ひっとうしょく)と言う立場が有って、これは通常ならその塗師屋の一番弟子で、修行期間である年季明けが終わった者が、他の塗師屋でも働いて経験を積み年齢を得て、もとの塗師屋で指導的立場...

「視覚認識数」

「Harvard University 」或いは日本で言うなら東京大学 でも良いが、その国家の最高学府の単位を取得した者が常に優秀であるとは限らない。国家の最高学府は一つの篩い(ふるい)に過ぎず、人間社会の一つの定規によ...

「紙と漆の関係」

紙の躯体で漆器を作る場合、漆を塗る者としてはどうしても完全に水の浸入を防ぎ、そしていつまでもそれが漆器で有り続ける事を考えてしまうが、この世界で永遠に存在し続ける物など有り得ず、木製の漆器でもその使用頻度によっては1年と...

「非合理性の造形力」

物には例えば同じ物、同じ道具でも重さの違いが有り、この重さとは重量では無く見た目の重さを言い、その因するところは「非合理性」の含み具合いと言うことになろうか・・・。 狭義の基本的な酒器を指した場合、それが伝統的な形式を鑑...

「徒弟制度と地域」

  例えば明治21年(西暦1888年)の「輪島」周辺の村を見てみようか・・・。 輪島から更に北に位置する「町野」(まちの)と言う所での一般家庭の暮らしでは、洋服を着ている者はまず存在せず、大体が少し丈の足りない...