「白いカーディガン・Ⅱ」

初めて核家族と言う概念を世に知らしめたのは1949年、アメリカの文化人類学者G・P・マードックだが、ここで使われた「核」とは物質の最小単位である「原子核」を意味していて、これ以上分割することができない、最小単位としての家...

「白いカーディガン・Ⅰ」

その17歳の少年の口から、一瞬天を仰いで後、少しだけ胸を張ったようにして語られた一言は、本当に何気ないレポーターの質問に答えたものだったが、多分このレポーターの質問自体が、本来シナリオにあったものではなかったように私には...

「過ぎたるは猶」

私が仕事の上で、いや仕事以上に気を付けている事は「人の領域を侵さない」と言うものだが、これは言われた事しかしないと言う意味と同義ではない。 求められた以上をしない事は実は大変難しい事で、人間のする事は必ず他者から求められ...

「視覚と言う死神」

人間が持つ感覚の中で「視覚」が持つ影響力は一番大きい。 だがこの視覚と言う感覚を頼りすぎると、人間はどこかで「現実」を失い、しいては現実社会に「非現実社会」が出現してくることになる。 人間が本当の意味で滅ぶとき、それは戦...

「あえの風」

古くは万葉集に残された大友家持の歌に源を持つ「あゆの風」とも言われ、民族学者の柳田国夫に拠れば海から陸に向かって吹く風と解された「あえの風」・・・。 日本海側では比較的多く使われていた「あえの風」の解釈はその地域ごとに異...