「夜汽車」

一時期東京の商社に勤務していた私は、母が病との事から故郷に帰る事を決め、そして電車を乗り継ぎながら家を目指したが、金沢の駅に着いたのは夜の8時過ぎ、能登行きの最終に乗り込んだ時は既に9時を過ぎていた。 車内は夏だった事も...

「自分の鞘」

武術、書、囲碁将棋の世界も同じかも知れないが、そこで与えられている「段位」の中で、現実的に一番力の有る段位は三段から五段と言われていて、これより上の段位は功績段位の意味合いが強いが、もしかしたら既に闘わずして勝つ人、闘わ...

「本当のインフレーション」

1973年、第4次中東戦争が勃発、同年10月にはOPEC(オペック・石油輸出国機構)が制裁措置としてイスラエルを支援する国家に対して石油の禁輸を決定、また石油の段階的減産を実施し、これに拠って世界経済は一挙に混乱し始めた...

「記憶の非連続性」

夫婦喧嘩の原因など、他者からすると些細な事に端を発している場合が多いが、ここではお互いの主張に付いて自己の主張こそが絶対で、相手の主張は間違っていると言う大前提の基に議論が為されている事になり、これは例えば「ああ言った」...

2「ふと思った」

日本の現状は形式からすると太平洋戦争前と良く似ている。 初めは少しの戦闘で勝利した段階で講和を目指す事が思われながら、途中で諸般の事情が加わり、どこで終わりにするか、どこまでを目的とするかが曖昧になった結果、泥沼化し敗戦...