「パズル」

少し前の事だが、田の水を見て家に帰ろうと県道を歩いていたら、もうすぐ家に着こうかと言うところで、道の真ん中に蛇が横たわっていて動こうとしない、遠くからは自動車のエンジン音が聞こえてきて、と言う状況に遭遇した。 体長60㎝...

「朝日」

前日10年ぶりに訪ねてきた友人と話し込んでいた為も有っただろうか、比較的熟睡していた私は突然足の先に一瞬の違和感をおぼえたが、その感触には記憶が有り、次の瞬間には足でその違和感を蹴る様にしてから起き上がった。 そして蛍光...

「母と子へ」

追い詰められた鼠のように暗く儚い目をして、 苦く(にがく)歪んでいるだろう顔・・・。 君はそんな私を見て笑ってくれるか・・・。 そこまでの笑顔を私にくれるか・・・。   両手は裏切りと血でまみれ、 絶望と既に死...

「夜汽車」

一時期東京の商社に勤務していた私は、母が病との事から故郷に帰る事を決め、そして電車を乗り継ぎながら家を目指したが、金沢の駅に着いたのは夜の8時過ぎ、能登行きの最終に乗り込んだ時は既に9時を過ぎていた。 車内は夏だった事も...

「大ばか者」

珍しい男が訪ねてきた・・・。 もうかれこれ20年以上前に一度会ったきりだったが、かつては商売上敵の立場だった男で、この時は某航空会社飛行機の機内通販の権利を巡って熾烈な競争をし、しかも私が敗退した相手だった。 彼は当時か...