月: 2021年7月
「鉞〈まさかり〉を研ぐ子供」・2
此度東北を襲った大地震にあって、我が脳裏に真っ先に思い浮かんだのが、「柳田国男」のこの話であり、また関東大震災の折の記録だった。 この二者は互いに、そこに共通点を求めるなら「子供」がその主体となるが、全く別の記録なれど、...
「鉞〈まさかり〉を研ぐ子供」・1
ある村の近くの山で炭焼きを生業としている男があった。 だがこの男の暮らしは貧しく、食うや食わずの毎日で、既にもう何日も食べるものを口にしておらず、その日も朝から村へ炭を売りに行ったが、炭はいっこうに売れず手ぶらで帰るしか...
「田分仙人と編集者」・Ⅱ
「きさま、わしを馬鹿にしておるのか、この大たわけが、帰れ、さっさと帰って二度と来るな」 「先生、どうか勘弁してください、メールが来たら3分以内に返さないと、シカトされたと思うのが今の世の中なんですよ」 「3分以内だと、親...
「田分仙人と編集者」・Ⅰ
「仙人、いや先生、今日は近くまで来たものですから立ち寄ったんですが、如何なものでしょうか例の原稿の方は・・・・」 「おお、二俣(ふたまた)か、久しいな、達者だったか」 「へっ、おかげさまで何とかやさせてもらってます」 「...