「国際連合」

「次からお前が家族分の小麦を受け取りに来い、いいな」そういって男は少女の胸と尻を粗末な服の上から撫で回したが、それに驚いたような顔をした少女に対してさらに男はこう言う、「いいかこのことは誰にも言うんじゃないぞ、もし誰かに話したらお前には小麦をやらないからな・・・」

それからと言うもの、食料支援を受け取りに行くのは必ずこの少女の仕事になり、少女は男から毎回体を触られるなどし、そのうち男は少女に対して暴行を働くようになったが、こうした事実を少女はおろか、その家族ですら知りながら誰にも言えなかった。
その背景には唯でさえ食糧難のアフリカで、小麦の援助は家族の人数に応じて支給されることになってはいたものの、このようなことでもなければ、少しでも余計に小麦を貰えなかったからであり、この男は小麦を支給する立場にあって、それを利用しこの少女と同じような手口で、他にも数十名の少女に暴行を働いていたのである。

その結果どうなったかと言うと、この男の所へ食料の支給を受けに来るのは、全員14歳から18歳までの少女と言う事態となり、彼女たちは列を成して支給日には並んでいて、他の職員たちもこうした事実に気づき始めていたが、なぜか誰も内部告発するものがいなかったのである。

1980年代アフリカ、地名や個人名は出せないが、この事件は実際にあった話である。
この当時アフリカの食糧援助事業に携わっていた国連職員の中には、もちろん大部分は使命感に燃えて救済事業に汗を流していた者が多かったが、一部では食料の支給に絡んで多くの少女に暴行を働いた職員がいて、このことは当時少しだけ問題にはなったが、その後やはり「援助」と言う大儀名文の影に、こうした話は影を潜めてしまった。

さらに多額の援助資金は不安定なアフリカの政治体制の中、政権と癒着した国連職員によって資金還流され、職員の懐に入れられていた・・・と言う事実も少なからず横行していたが、こうしたことが許された背景には、それほど混乱したアフリカの姿があったからだ。

また以前に聞いた話だが、日本が国連の常任理事国入りを目指していた頃、実際に外務省関係者がアフリカの代表からこんな話をされたことがある。
「常任理事国なんて簡単ですよ、現在国連の加盟国は192の国ですが、その殆どが貧しい国です。そしてこの貧しい国も1票を持っています。日本はバンバン金を使ってそうした貧しい国から一票を買えば良い、すぐに常任理事国になれますよ」、と言うことだ。

この話、実際に常任理事国となると、拒否権を持つ国の問題もあることから、そのまま受け取ることはできないが、これまでの非常任理事国の選挙でも、多額の工作資金を使ってきた日本に対する言葉としたら、少々足元を見られた話ではある。

だがこの国際連合、もともとは太平洋戦争時の日本、イタリア、ドイツと言った枢軸国に対する国家連合から移行したもので、例えば韓国などでは「国際連合」と同じ意味を用いているが、中国や台湾などでは国家連合のままの意味であり、国際連合は部分的とは言え、戦時の国家連合の要素もそのまま移行してきている部分がある。

その最たるものが「敵国条項」と言うものだが、これは第二次世界大戦当時、日本、イタリア、ドイツなどと言った枢軸国、これにルーマニア、ハンガリー、フィンランド、ブルガリアを加えた7カ国に対して、国際連合発足当時の加盟51カ国が、加盟国に敵対する存在として定義したものであり、この条項にはその後、具体的な国家の名前が記載されないことになってから、逆にうがった見方もできてしまうのは事実であり、国連に加盟すると同時に条項から除外されることになるため、実質効力はないものの、日本やドイツは戦争を彷彿とさせる、このような条項の削除を求めてきているが、未だにこの条項の削除は実現していない。

そして日本が求めている常任理事国入りの件だが・・・、実はこの日本の希望は非常に難しい・・・と言うより、絶対に実現しない。
その理由はまず日本国憲法第9条の規定であり、これによりいかなる軍事行動も行わないとした日本では、集団的自衛権が日本国内において容認されるようなことでもなければ、まず他国で軍事行動ができない。
またイタリアはともかく、現在の常任理事国内部ではドイツ、日本に対しては潜在的な脅威があり、これはヨーロッパのほかの諸国やアメリカなどでは絶対に表に出ないものの、日本とドイツには「核兵器を持たせない」と言う不文律が働いていることからも伺える話だが、それ以前に近隣諸国の利害関係からも、例えば日本に対しては韓国、ドイツに対してはイタリアがそれぞれに反対していった。

またこうした常任理事国入りにいては、それぞれに経済的な力を付けたブラジルやインドなども、同じ方向へと動いてくることになり、日本やドイツはこれらの国々と協調して常任理事国入りを目指したが、この動きが起こってきたのはイラク戦争が始まった頃、国連がアメリカの意思だけで動いていく傾向に対する批判から、国連改革がうたわれ始めてきた時期だったが、アメリカはこうした批判をかわすとともに、日本、ドイツ、インド、ブラジルの結束を乱すために日本のみの常連理事国入りを表明する。

何ともしたたかな方法だが、これによって日本はイラク戦争に反対できなくなっていったのである。
また同じ動きとしてドイツにはフランスが常任理事国入りを支持したが、イタリアはこれに猛反発、ブラジルにはアルゼンチンが、インドにはパキスタンが・・・と言う具合に、常任理事国入りを目指す国のライバル国家によっても、激しい4カ国の常任理事国入り反対運度が起こるのである。

そしてこうした常任理事国問題は世界的な経済危機とあいまって、遅れている国連改革の中に埋没し、今では国連内部でも、常任理事国内部でも話し合われることはなくなったのではないだろうか。

国連の決議は一般議案が加盟国がそれぞれに持つ、1国1票によって過半数の多数決で決議されるが、重要決議はその3分の2の賛成が必要となり、しかもその決議には法的権限がなく、加盟国への勧告と常任理事会への勧告と言うことまでに留まり、結果として法的根拠を持つ決議権は常任理事会、常任理事国しか持っていないのである。
こうした実情の中で、所詮はアメリカの注文伺いでしかない日本が、常任理事国になったところで、アメリカが2票持つだけだと言う中国、ロシアの思惑を払拭するだけの事実が、いまだ日本には見当たらない。

そして日本は、2000年には実に国連の予算の20%を負担していたのだが、もともと国連には特定の国家が経済的な支配を強めないように、1国家が国連総予算に対して拠出できる「負担率」に上限を設けてあり、この最高位にあるのがアメリカの22% で、当時の日本の拠出額は異常だったことから、日本はこうした拠出額でありながら、常任理事国入りができないのはおかしい・・・と言う苦言を国連に呈するが、常任理事国入りも、拠出金の負担率軽減も国連は認めなかった。

その後日本の経済的な悪化から、現在は国連予算の16・62%を日本が拠出しているが、第1位のアメリカはともかく、日本が2位でこの割合である。
ちなみにイギリス6・64%、フランス6・3%、中国に至ってはあの大国が2・66%、経済大国のロシアでも、負担率は1・10%と言う国連の負担率評価なのである。
更に凄いのはこうした国連拠出金の滞納である。

通常国連の予算決算は12月に行われ、分担金の拠出は翌年の1月に請求されるが、そこから30日以内の納付が義務付けられている。
しかしこれに対してアメリカの滞納率は請求の30% が、中国が請求の65%を、そして韓国が85%もの拠出金を滞納していて、前国連事務総長がパン・ギブンだった訳である。

ちなみに国連予算負担割合の下限は0・001%であり、こうした国の1票も日本の1票も何も変わらない・・・。
これが国連の良いところであり、少しだけ面白くないところでもあろうか・・・。

T・asada
このブログの記事は「夏未夕 漆綾」第二席下地職人「浅田 正」 (表示名T・asada)が執筆しております。

4件のコメント

  1. 「国際連合」

    下請けの社長が、たった数日の納期遅延で、納入日を変更してもらいたいという事で、訪問した時、購買部の、その娘のような担当者が、偉そうに振る舞っていられるのは、暫くだけ、その内行かず後家、少しぐらいオカメチ〇コでも、それなりに振る舞って居れば、有望な甥っこの紹介だって有ったかも(笑い)~~♪

    国際連盟で、日本が人種差別撤廃を提案したとき、前例がないのに、全会一致を申し立てて、葬り去ったように、今の国連も基本的には、白人キリスト教徒の利益代表のクラブで有って、成り行きで、正当性の無い中共や、仲間に入りそびれて戦争を始めた独伊が居るので、紛らわしいが、お化粧しているが体質は変わらず、未だに日本は貶められるか集られっぱなしで、アメリカのWGIPが血肉となっている日本人のかなりの人々は未だに、国連が世界平和の主導者だと思っている~~♪

    これを脱する方法が有って、日本は、分担金を盾にとって、国連関係各機関に現常任理事国と全く同じかそれ以上の要求をして、認められなかったら、分担金を一切払わないで、スポンサーと成って第二国連を作って、世界の平和と貧困の撲滅のために、その資金で日本は粉骨砕身するからと、勿論事前に鼻薬を嗅がせて国連で(笑い)演説すればよい。本国から派遣されている連中と結託して甘い汁を吸っている連中や国連から派遣されているのと結託して売国して稼いでいる連中は、背筋が凍るだろうが、目覚めた連中が戦って、百ヶ国ぐらいは、加盟すると思うが、そうならなければ、何事も無かったかのように振る舞って戻るけれども、分担金は当分支払わない、勿論その間に核武装をする(笑い)~~♪

    1. ハシビロコウ様、有り難うございます。

      日本に取って国際連合は、戦争賠償と言う事になるのでしょうね。
      そうした暗黙が在るから日本政府も強硬な行動には出れないし、くだんの隣国も大騒ぎするでしょう。
      ただ、敵国条項は外してもらわないと、そんな組織に金を払っているのでは、余りにも理不尽だろうと思います。
      何ならこれを理由にもう一度国際連合脱退もあって良いかも知れません。現実には行動に出来なくても、一度こうした話ぐらい出してみるのも一つの外交と言えるだろうと思います。
      日本も腐っているが世界も腐っている。
      その腐ったものに、お前は腐っていると言う国も存在しなければ面白くない。

      コメント、有り難うございました。

  2. 「あー苦しかった」・1

    今は、田舎の村祭りもほとんど潰れかけていて、村興しやら、町興し等、官主導でやっていて効果がさっぱりだが、よく考えれば、人口が減っているとは言っても、戦前の同じぐらいのところはいくらでも有るのだから、身の丈に合った事をすれば、それでいい気もする。

    今は祭りも盆踊りも、合併した広域で行っているところが多いやにも思うが、自分が子供の頃もその面影がああったし、戦前は小さな集落ごとに期日をづらしてやっていて、規模は小さいが、違う集落に大ぴらに、夜何人かずつで、訪ねては、仲間に入って、男女が知り合う機会でもあったし、青年団とか、祭りの社中の連中が、それなりに仲介をして、適当に探りを入れて、脈が有れば、少しずつ進めて行って、その間に、親とか親類とかも関わって来て、破談になるにしろ、成就するにしろ、機会は時季に応じてそれなりに有ったらしい。
    結いなどもその一端を担ったのかも知れない。

    今は引き籠って、怪しい自己像をSNSに投稿して、怪しい結果が多いようだ。

    何もない、自分が喜ぶ自分探しをして、顰に倣うじゃないけれど、歩けなくなって、這って帰る連中ならまだしも、お縄付きで~遺体で帰る連中も続出しているが、本源的な事には興味のない、もしくは理解できていない連中が、条例~法律を作って、家庭内の虐待を防止したり、国家の平和を達成したりしようとしているが、迂遠なようだが、基本からじっくりやった方が良いかも知れない・・

    1. ハシビロコウ様、有り難うございます。

      この話はこれから続く話の「枕」なのですが、漫談調に書いてみました。
      ここでは生きている女の人魂でしたが、次には本当に殺された女に関して、事件の真相に関係する人物の霊魂が出てきます。

      怪しい話の大家を目指した者としては、今もその夢は棄てきれず、落ち着いたらまた怪しい話をどんどん書いて行こうと思っています。

      コメント、有り難うございました。

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