「猫経済」

現在の日本経済は生きているか死んでいるかと言えば「シュレーディンガーの猫」である。

 

つまり半分死んで半分生きている可能性の状態だが、先の結果はもうはっきりしていて、未来は「死」の状態である。

 

冒頭から余談になるが、猫はシュレーディンガーだけではなく世界的に「半分」を意味する言葉でも有り、日本や中国でも「猫がけ」と言う言葉が有り、約束された代金や物が半分程しか貰えない時、約束された量や数に足りない時に「猫何某」と言う揶揄言葉が存在している。

 

「安倍晋三」内閣総理大臣は2014年4月に消費税を現行の5%から8%に引き上げる事を決定したが、その次ぎのステップである消費税増税10%の実施も2014年度内に判断するとし、麻生太郎財務大臣も2014年1月、本年度7~9月期の経済指標を元に消費税増税を判断するとしている。

 

この事は何を意味しているかと言えば、7~9月期の経済指標が発表される2014年11月に10%の消費税増税を判断する、いや、消費税増税を決定すると言う意味であり、簡単に言うなら政府は今の好況感をここまでが限界だと判断していると言う意味である。

 

日本経済は2014年度中でも今より上昇する事は有り得ない。

 

現在の状況でも国民に円安による物価上昇と言う負担を強いて、そこで集められた資金によって輸出産業関連の大企業を支え、彼等大企業を使って政府が一緒になって好況感を演出しているだけの事であり、ガソリンや灯油などの燃料、食料品や輸入製品などが円安によって被った価格上昇は平均で30%、電気、保険料、租税などの国民負担が5%から10%、その上での消費税増税である。

 

2014年4月に消費税増税が施行されると一端消費は落ち込み、その後暫くして消費は少し反発する。

 

この時期が7~9月期に相当し、政府財務当局はこれを利用しようとしている。

 

2013年より2014年の公共事業投資額は少なく、無制限の金融緩和策と言っても昨年度の水準を越えて紙幣の印刷を増やす事は出来ない。

 

しかし昨年度と同じ水準で紙幣を増やしたとしても、財政出動の額は2013年より減少する事は決まっていて、社会福祉費用は増大し、国民の暮らしは円安による生活物資に偏重されたインフレーションによって窮乏、2014年末にはその影響が明確になり、2015年冒頭の財務指標でそれが露見する。

 

この事から2015年10月からの消費税10%増税の判断は、2014年4月に一端落ち込んだ景気が少し反発する7月~9月期を材料にして判断する以外にマシな状況は出て来ないのであり、こうした事が解っているからこその10%消費税増税判断の急務なのである。

 

元々現在の好況感は前民主党野田政権と自民党、それに公明党が共同して消費税増税法案を議会で通過させたおり、そこに設けた付帯条項「国内景気を見て判断する」と言う一文をクリアする為に始められたもので、基本的に財務省の消費税増税が本来の意図である。

 

従って国家的長期戦略に基づいたものではなく、おそらく2014年末に消費税10%増税を判断した安倍政権は、その翌年には国内景気の絶望的悪化に伴い完全に国民の信任を失うが、それでも消費税増税の法案は成立し、国家財政的には消費税増税の道さへ付いていれば何とかなると言うのが財務省の考えだろう。

 

頭の弱い首相や財務大臣を使って当場の危機を逃れ、それから後の事はまた考えれば良いと言うのが真実かも知れない。

 

それゆえこの現在の好景気は消費税増税の為の演出と言えるのである。

 

日本経済は基本的には国内人口の少子高齢化によって、毎年GDPの減少が避けられない。

 

好景気など大きな破綻や災害が無い限り有り得ないのである。

 

つまりは経済的に一端死んでしまわないとそこから先は無いのであり、現在行われている経済対策は自然死を迎えている末期患者に対する延命処置に同じである。

 

問題はいつまで生かすか、どの時点で人工呼吸器を外すかと言う事であり、ここでのタイミングが10%消費税増税の実施と言う事なのであり、安倍政権の役割はこの時点をして終わり、彼はまた病気になったと言って、虚ろな顔をして目に涙を溜めて政権から去って行く事になるだろう。

 

日本経済は基本的に動いてはおらず、黙っていても死に向かっているが、財政出動と紙幣印刷の大幅水増しと言う人口呼吸器でかろうじて生きているので有り、もはや市場経済、国民主体経済の意味では自力回復の道は閉ざされ、延命処置によってやっと生化された状態、そのように見えるだけと言える。

 

経済は元々自然原理、摂理に同じく「波」で有り、そこでは良い時と悪い時が有り、悪い時から良い時へ移行する時も、行われる政策によって恩恵を受ける者より恩恵が少ない者の方が多く、悪くなっていく時はそれが顕著で、しかも恩恵を被る者の方が恩恵を受けない者より少ないから恩恵が出るのである。

 

従って良い経済とは波の幅が少なく、そして波自体が平均して高い位置に有る事を指す。

 

今の日本は民族的に既に衰退に有り、先の自然災害からも逃れられない。

 

ゆえ経済の波が下の方に有るのが自然な在り様と言え、これを無理に良く見せようとしても長くは続かず、結局聖書にも有るように「持たざる者は持つ者によって更に奪われる」状態になる。

 

日本国民は今年後半から来る大きな経済的危機に備えよ・・・。
「本文は2014年1月25日、Yahooブログに掲載した記事を再掲載しています]
T・asada
このブログの記事は「夏未夕 漆綾」第二席下地職人「浅田 正」 (表示名T・asada)が執筆しております。