「日本は今どこにいるのか」・Ⅱ

60年以上も他国と戦争をせず、国民の暮らしは欧米以上に充実し、世界中行こうと思えばどこでも行ける。

食料は満ち溢れ、人々は車を所有し、道端に死体が転がっていると言うこともなければ、文字を書けないと言う人もいない。

世知辛くなったとは言え、それでも人に道を聞けば教えてくれる。

蛇口を開けばいつでも飲むことが可能な水が手に入り、どんな場所であっても公共のトイレは無料、政府を批判してもそれで身柄を拘束されることもなければ、酒も飲める。

現段階に措いて、一体こうした国家が世界にいくつあるだろうか、おそらく一つも存在していないだろう。

かのアメリカであっても日本の失業率の2倍、それに不安定な経済状況から都市部の治安は慢性的に悪化し、夜は歩けない地域が増加しているだけではなく、そもそもアメリカは未だに徴兵制度が存在している国家だ。

またヨーロッパもその経済は破綻し、それは今後拡大する恐れがあり、イタリアでは殆どの労働者がその労働意欲を無くし、フランスやドイツでも現在はストライキが毎日のように発生している。

経済大国のように君臨しているかのように見える中国でも、その現状は政治的未成熟さが、まるで溺れかけた者の如くの有り様でしかない。

すなわち戦争で混乱した国家を建て直すには「独裁」が最も効果的なのだが、ここで本来一時的なものであるべき「独裁官」の毛沢東(もうたくとう)が、絶対君主を目指したところから中国の悲劇が始まり、その後この絶対君主の交代制と言う曖昧な形から、合議制絶対君主と言う大変中途半端な政治体制になってしまった。

それゆえ中国は、今後必ず過去日本が太平洋戦争前後に通ってきた事実に近い、歴史的必然性を持った政治的混乱を迎える。

現在日本を席巻している「円高」に付いても、これは日本の実態経済を反映したものではなく、経済的主要国家であるアメリカ、ヨーロッパの資金が避難場所を求めて日本の「円」に避難しているに過ぎず、こうした各国の自国通貨安と言う状況はそう長く続けられるものでもなければ、また中国も自国通貨保護の目的から日本の国債を買っているが、このような欧米や中国の政策など、所詮大河に石を投げ入れ、流れをせき止めようとしている程に虚しいものでしかなく、その行く先は既に決まっている。

ゆえに日本及び日本企業は、何とか頑張ってこの円高でも事業を継続する力を身につけたなら、その先に待っているものは世界シェアに対する圧倒的な力となり、またこうした時期にこそ技術を獲得しておけば、それはやがて世界の如何なる政治的な圧力をも超える、日本の力となっていくはずである。

私が「滅亡」「破滅」と言った言葉を好むのは、生物や物質の究極の形がそれであるからでだけではなく、「滅亡」や「破滅」は何かの終わりであると同時に何かの始まりでも有るからであり、こうした意味では日本及び日本人は人類として、あるいは文明として最も世界に先んじた国となり、繁栄し、そして世界に先んじて道を示していく国家となったとも言えるのではないか・・・。

それゆえ日本はもう自身が手本とするものは何もなく、これから先は日本が手本となっていく、それはまことに厳しいものかも知れないが、いつの時代でも先を行く者は孤独であり、尚且つ「希望」は「絶望」の極みに最も光り輝くものではないか、そのように思う。

さあ、みんな少しは元気をだして、また歩き始めようではないか・・・。

 

※ 本文は2010年10月26日、Yahooブログに掲載した記事を再掲載しています。

 

T・asada
このブログの記事は「夏未夕 漆綾」第二席下地職人「浅田 正」 (表示名T・asada)が執筆しております。

4件のコメント

  1. 「日本は今どこにいるのか」I・II

    昔、西洋で、人間を作った時に、袋を二つ作って与えて、自分の良い事を詰めた袋は前に抱えさせて、悪い所を詰めた袋は、背中に背負わせたので・・
    神様の意図は、色々有るだろうが・・
    人はそれ故に、自分の良い所は何時も見えて、自分が一番の様に感じて、他人の悪い所は、最初に見えるので、終始非難している。もう長い時が経ったが、未だにそれに気づいていない。

    戦の神ポレモスは、傲慢無礼の女神ヒュプリスと結婚して、こよなく愛した。因って、傲慢と無礼が起きた地域~国では、必ず戦争が起きる~~♪

    翻って、大八洲の中つ国では、人は神の子孫で、神は自然の一部であり、互いに敬って生きている。普通の事なので、時々、意識しなくなるが、山川草木悉皆仏性であり、常にもとに戻れば、大きな間違いはない。

    天国に住んでいると、天国の有難みは、身に染みるものではない。

    大八洲の人々は、もっと、ネットに有るような誹謗中傷ではなく、本来の姿を、見出してその心を弘める時期に来ているのかも知れない~~♪

    1. ハシビロコウさま、有り難うございます。

      ものは考え様と言う事なのですが、結構日本は凄い。
      アメリカと直接戦争したのも世界でただ1国、日本ですし、神風に、テロの革新、バブル崩壊を近代で一番最初にやった国だし、訳が解らない内にオタク文明を世界に広め、日本食を広めた。
      世界で最初に高齢化社会を経験し、かつてないデフレも経験している。
      こうした経緯の中には褒められるべきことは少ないのかも知れませんが、どの国も経験のない事を経験しています。
      それがいつかはきっと大きな力になって行くように思います。
      世界はウィルス騒動で大騒ぎですが、対応が遅れたと言いながら感染者数、死者共に世界で最も少ない被害しか出していない。
      暴動も起きなければ政府転覆の動きもない。
      実にスーパーな国と言えるのではないでしょうか。

      コメント、有り難うございました。

  2. 「LとD」

    美しい姉と醜い妹は、常に一緒に行動していて、分かち難いが、人はややもすれば、美しい娘を欲しがって、醜い娘を蔑ろにするが、行き着く先は、均衡の破壊であり、長い間は、存在しえない。

    通販の宣伝で、○○は△△に良い、とか言うが、例えば、善玉菌(コレステロールでも良いが)だけでは、善を為すことも出来ず、悪玉菌も一定量有って然るべきである。
    美味しいアオジ〇、とか盛んに宣伝しているが、本当に美味しければ、店に売っている、山菜だって、本当に美味しくて、長期食べられるものは、農家が作っている。その代表がウド。

    昆虫にも色んな色彩が有るが、凄い色に見えるものは、大抵構造色で、そのもの色ではない。
    ものをありのままに見る事は難しいが、大抵のものは、見せかけだけで十分である。宇宙の広さ、みたいなものだ(笑い)

    1. ハシビロコウさま、有り難うございます。

      この話は化学の話だったのですが、結構難しい話だったかも知れません。
      例になっていた左手と右手を考えて頂けると、左右対称で同じものなのですが、決して一致しないもの。
      こうした概念と言うのは物質や人体の機能には多いのですが、実は人間の思想や考え方の中では中々理解されない。
      でもこんな区別の仕方が人間の分子レベルでは平気で存在している訳ですが、虚実を考えると実にこの概念が身近になります。
      同じにして絶対重なり合わない、しかもどちらも現実であり、正しい。
      実に素晴らしい在り様のように思います。
      また情報と言うものは、それを認識できる機能に準じて公開されている側面を持ち、この場合の関係は鶏と卵の関係にも似ている。
      何とも嬉しくなってくる世界ではないでしょうか・・・。

      コメント、有り難うございました。

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