「台風10号の予測」

2020年9月1日現在、小笠原諸島付近で発生している熱帯低気圧に関して、ECMWF(ヨーロッパ中期予報センター)とJTWC(アメリカ・ハワイ米軍合同台風警報センター)は日本時間の2020年9月2日未明には、同低気圧が台風に勢力を拡大するものと予測している。

また日本南岸の海水温と上空のジェット気流の関係から、日本列島の中西部海岸から日本海へ抜けるコースを想定しており、現在は1006hpの中心気圧は、東海から九州東部海岸へ達する9月6日夜には、中心気圧920hp、中心付近の最大風速は50m/秒以上、最大瞬間風速70m/秒、強風域は500kmから600km 、暴風圏250㎞の猛烈な勢力になるものと予想されている。

一般的にはヨーロッパやハワイで日本の気象の予測精度など、いい加減ではないかと考えてしまいがちだが、この精度に付いては参考までに言うなら、日本の気象庁が把握している情報の70~80%の情報をデータ入力して予測していると考えた方が良く、日本の気象庁程の緻密さは無くても、大まかな参考としては十分な精度と考えた方が良い。

JTWCは主に太平洋に展開するアメリカ軍の気象予測機関であり、日本の気象庁よりは勢力や規模を大きく予測する傾向に有る。

これは1960年くらいまでは実施していた台風の中心気圧を実測しない為である。

1960年代以前までは戦争上の必要から中心気圧まで観測していたが、朝鮮戦争終了と共に、極東アジアに措ける気象予測精度の必要性が薄れた為、観測が簡略化されている為と言われている。

またECMWF(ヨーロッパ中期予報センター)は「European Centre for Medium-Range Weather」の省略だが、ヨーロッパ22か国が加盟する合同気象予測センターで、本部はイギリス・レディングに在り、世界の公的機関で最も長い10日先までの気象予測を行っている。

傾向としてはJTWCは軍事だが、ECMWFはどちらかと言うと、ビジネス戦略の為の予測に傾いているかも知れない。

しかもこちらの予測精度はとても位相的である。

或る時は全く誰も及ばない事まで予測する事が有るものの、外す時もJTWCよりは僅かに大きくなる。

これはJTWCと同じように、何が必要で何が重要性が無いかと言う事なのだが、場所と時に拠って重要性が変化している事が起因しているだろう。

これ等や他にフランス、ドイツ、スイスなどの気象専門機関の予測を総合すると、現在小笠原に存在する熱帯低気圧は、9月6日夜にかけて、日本の東海から九州北東部の、どこかの地点から日本に上陸する可能性が高くなっている。

考え方として、こうした各専門機関の進路予想のばらつき幅が、今の段階に措ける進路予報円と言う事になるかも知れない。

この熱帯低気圧、9月2日の時点では台風10号と呼ばれているだろうが、進路予測で大きな影響を受けるのが海水温の高さで有り、今のところ日本南岸で30度以上の海水温地域が、先に行って東京湾を舐めているような舌の形で存在している事から、この中を非常に遅い速度で北西に向かうものと見られている。

そして日本に上陸する直前の9月6日夜には中心気圧920hp、中心付近の最大風速は50~60m/秒、瞬間最大風速は70m/秒、暴風圏250km、強風圏500km~600kmの猛烈な勢力になっている恐れが有る。

台風の進行方向の右側、航行危険範囲に入る地域では9月5日から風が強まり、右側下部には雨雲が連なる。

また台風の中下部では、中心付近から離れた台風の外縁付近で竜巻が発生し易い。

日本人がこの100年で数回しか経験した事の無いで有ろう、強風と竜巻の被害を被る恐れが有る。

中心付近が通らなくても、例えば伊豆を中心付近が通過しても、関東平野では瞬間最大風速が50m/秒以上の風が吹く恐れが有る。

今後の日本の気象庁の発表には充分注意してお過ごし頂ければと思う。

猶、現在台風9号が通過中の西日本各地の皆様には、台風の進行速度が遅いため、不安な夜をお過ごしと思いますが、くれぐれも強風の中様子を見に行くなどの事の無いよう、避難を継続してください。

また北海道函館では何万匹ものイワシが死んで打ち上げられていますが、こうした場合、海流や海水温の関係で酸素欠乏状態になった為と言う見解が一般的です。

しかし、期限や直接的因果関係は明確でないですが、例えば関東大震災などでも横浜では大量のイワシが川を遡ってきて、それを皆ですくっている時に大きな地震が発生しています。

北海道南部、東部の方々は他にも通常と違った事が起きていないか、充分注意してお過ごしください。

T・asada
このブログの記事は「夏未夕 漆綾」第二席下地職人「浅田 正」 (表示名T・asada)が執筆しております。