「修羅」

暖かい春の日差しが窓から差し込み、2階階段の踊り場には、看護士が生けたのか名前は分からないが、赤と黄色の綺麗な花がそこだけ嬉しそうに輝いていた。 こんな場面ではどちらかと言うと良い天気は辛いものだが、それでも雨の日よりは...

「市民一丸となって・・・」

昔、この街にも鉄道が通っていた頃使われていた駅舎、既に使われなくなって久しいこの建物を建て直し、コミュニティーセンターにしたのは数年前のことだが、たまたま高校生だった長男を学校に送りに行った帰り道、ここに立ち寄ってみると...

「寝たきりの神様」

祖母が元気な頃いつも和服で、歩くときは杖をついていたが目が悪く、光が当たり過ぎないようにサングラスをしていた。 このサングラスは私が祖母に送ったもので、レイバンのグレーバージョン、丸縁だったが、こうした出で立ちで外を歩い...

「もう一人でも大丈夫さ・・」

春5月、暖かい陽射しの日だった。 車を出そうと車庫を開けた私の足元へ、転がりこむように走ってきたその白い塊は、勢い良く私の足にぶつかり、横になってコンクリートに頭をこすり付けるようにして嬉しそうにしていた。 白い猫・・・...