「漆芸技術の自己相似性」

古典チベット漆器の技法で、陶芸の「手捻り」(てびねり)の一種と同じ様式の技法が有り、漆に膠(にかわ)を混ぜでそれを粘度くらいの硬さに調節し、ちょうど古典的な素麺などの麺類を製造するときと同じように、手で押して転がし乍細い...

「漆黒」

カラーチャートの黒は「#000000」と表示され、これは色の3原色を混ぜた状態、全ての光の波長を吸収し反射率が0の「状態」を言い、このようなものは地上に存在しない。 従って漆器で言うところの「漆黒」は、正確には「黒」では...

「漆の嫌気性とかぶれ」

私が 初めて漆と言うものを認識したのは、おそらくその樹木からではなかったかと思うが、幼い頃山で皮を剥くと妙にヌルヌルする木の枝を触って、その夕方には手が真っ黒になり、翌日を待たずして全身が痒くなり、そこから1ヶ月は漆かぶ...

「拭き漆と菜種油」

拭き漆(ふきうるし)技法は木材の表面に漆を擦り付け、それを拭き取って仕上げる最も古典的かつ基本的な漆塗り技法だが、それだけに多様性が有り、古代には色んなバリエーションを持っていたが、現代社会では品質の統一性と言う観点から...

「二つの乾燥点」

漆の乾燥温度はプラス温度側に2箇所存在する。 漆は常温だと湿度が無いと乾燥しない事から唯高温な状態では逆に乾燥せず、いつまでも液体の状態のままになる。 常温24度から36度、湿度60%から88%までが一つの乾燥条件である...