「バロック音楽の系譜」・1

バロックと言う区分を音楽的様式として概念したのはドイツだが、その言葉自体は英語、フランス語圏でも発達していった。 しかし初期バロックはそれまでの古典音楽に対してある種の反動として発生したものであり、こうした流れそのものは...

「静寂の悲鳴」

夜の闇には独特の艶かしさがあるものだ、そう水より流動性の低い湿度が、体の外側すべてを覆い尽くしているような、それは危険で力のある存在が自身を取り囲み、その狂気に引き入れようとするような、また二度と再び這い上がることのでき...

「未亡人の共同執筆者」

世の中には不思議なめぐり合わせの人がいる。 さして望んでもいないのに大変な事業の手伝いをさせられ、しかも後世それほどの名声も残さず、唯黙って人生を駆け抜ける人がいる・・・、私はこうした人こそ本当の意味で尊敬に値すると思っ...

「女の確執」

ある雪の日、部屋を閉め切って物語りをしていると、一条天皇のお后の一人、定子は清少納言にこう言う・・・。 「少納言よ、香炉峯(こうろほう)の雪はいかならん」 これを聞いた清少納言は、さっと戸を開け、御簾(みす)をくるくると...

「レンブラントの光」

物の形とは何か、それを見ている人の目、その感覚とは・・・一体私たちは何をして物を物と見ているのだろうか。 1571年、レパント沖の海戦に勝利し、オスマントルコ帝国艦隊を撃退したスペイン、フィリップ2世は1580年ポルトガ...