「ノアの箱舟」

1872年・・・バビロニアの都ニネヴェの遺跡が発掘されたとき、偶然、古代王室の図書館跡が発見されたが、内部には楔形文字を刻んだ粘土板がぎっしり納められていて、発掘に当たった考古学者、言語学者たちは歓喜の声を上げた。 さっ...

「名月を取ってくれろと・・・」

私は母親に背負われた記憶が無い・・・。 勿論甘えたことも無ければ、何かで手を引かれて・・・と言う記憶もない。 農業や炭焼きで忙しい父や母はいつも家にいなっかた、その代わり祖母がきっと幼い私を見てくれていたのだろう・・・祖...

「人魚伝説」

スコットランドはケイスネスの浜辺、教育者校長を職業とするウィリアム・ムンロは、この浜辺を散歩するのが唯一の息抜きになっていたのだが、その日も黒い大岩がそこらじゅうに突き出たところを抜けて、少しだけ視界が開けた場所に出た・...

「恋するカレン」

メリダ(スペイン)から少し山側に向かったところにあるこの酒場・・・と言うより昼間は食堂になっているのだが、大きな木の丸いテーブルが3つ、それに無理をすれば10人くらいが座れるだろうか、そう言うカウンターがあるこの店は、昼...

「修羅」

暖かい春の日差しが窓から差し込み、2階階段の踊り場には、看護士が生けたのか名前は分からないが、赤と黄色の綺麗な花がそこだけ嬉しそうに輝いていた。 こんな場面ではどちらかと言うと良い天気は辛いものだが、それでも雨の日よりは...