「不如無知・Ⅱ」

小人の謙虚と大人の謙虚にはおよそ対極的な差がある。 小人の謙虚には裏があり、二面性があるもので、例えば小さな町の商店主なら、店にいるときはまことに平身低頭なのだが、それが商工会の集まりともなれば、「俺こそは・・・」になっ...

「不如無知・Ⅰ」

疑いと言うもの、また自分の評判などと言ったものは際限を持たないもので、一度気になりだしたら、どこまでも続く心の葛藤となり、蛾の止まりたる音にすら聞き耳を立て、誰かが何か言うてはおらんかと思うものである。 そしてそれらのこ...

「漆器の表札」

日本家屋の玄関に表札が掛かるようになった最も大きな契機は「関東大震災」だと言われている。 日本の大衆が苗字名前を名乗れるようになったのは明治政府の布告によるものだが、これは「徴兵制度」に付帯する便宜上のもので、逓信制度の...

「100円」

昭和50年代前半。 輪島の「朝市」はどこかこの時期を境界に「内」から「外」へ変遷して行ったように思う。 ちょうど地元商店街に対し、外から巨大資本のスーパーや百貨店が進出してくるのと同じようなものだが、輪島の朝市はこうした...

「おたく文化」

社会の構造が壊れていくとき、またはそれがはなはだ混乱した時、個々の人間、取り分け既存概念が形成されていない若者は、従来の価値観から放り出され、そこで行き場を失い後ろを見てしまう。 つまり多様な価値観が混沌として現れる中で...