「月を切り取る」

輪島塗の基本である下地付けに最も近いものは左官職人の壁塗りになるが、輪島塗の場合は立面では無い事、塗る面積が左官職人の領域ほど広くない事から、下地材を押さえる道具はコテではなくヘラになり、このヘラは30cm未満の直角三角...

「塗師小刀・3・丹波」

塗師小刀、塗師刀は現在では輪島塗の特殊な刀として位置づけられている。 しかしこの刀は本来日本のグローバルスタンダードだった。 今では滅多に表記される事は無いが、大正や昭和の文献の中に「丹波」と言う言葉が出てきて、このルビ...

「塗師小刀・2」

塗師小刀は職人の命だった。 その道具を見ればその仕事が解る事はどの職業に措いても言える事だが、塗師小刀で言えば柄や鞘に綺麗な装飾が施され、綺麗に研がれた刀が素晴らしいのでは無い。 柄や鞘に使うのが惜しくなるような装飾を施...

「塗師小刀・1」

輪島塗りの基本は下地塗り(したじぬり)に有って、従って仕上げである上塗りをする職人にしても必ず下地塗りの修行を終えている事が普通だった。 通常この下地塗りの弟子修行は3年、若しくは4年で、お礼奉公が1年から2年と言う具合...

「塗装工と言う誇り」

もう20年近く前になるだろうか、仕事で某和紙産地の作家と共同製作品を作る機会が有り、私は細い紙の帯を朱や緑などの漆で拭いて、それを編み上げて敷物を作ったが、これに和紙作家が意匠を加えたと言う事で仕上がりを楽しみしていた所...