「時を彷徨う者」第二章

紀元前10世紀、さすがにここまで来ると場所の特定は難しくなるが、エチオピアもしくはイエメン、この付近にその昔「シバ国」と言う国があったが、ここの女王はとても聡明で美しい女性だった。 彼女は時折不意にこの国を訪れる変わった...

「時を彷徨う者」第一章

ブルボン王朝、その絶頂を築いたフランス・ルイ14世・・・、しかしいかに彼をしても年齢と言う限界は超えることができなかった、今まさにすべての栄光もまた自身のものではなかったことを知り、ただその身を神の御心に委ね横たえていた...

「この空の下で・・・」

三界の狂人は狂なることを知らず 四生の盲者は盲なることを識らず(しらず) 生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く 死に死に死に死んで死の終わりに冥し(くらし) これは空海の言葉だが、私は世の中で一番好きな言葉を1つだけ...

「あなた様の意には従いません」

「これはしたり・・・、我は何も頼んでまで舞を見たいとは思うてはおらぬ、嫌ならそこまでのこと、たかだか白拍子(しらびょうし)の1人や2人、会うて見たところでいかほどのことやあろう・・・」 北条政子の進言にもかかわらず、いや...

「助かるかな・・・」

秋の夕暮れは以外に陽が落ちるのが早くて、7時近くにもなると、既にとっぷりと夜の雰囲気になってしまうが、1日を終えた安堵感とそれ相応の疲れが、少しの満足感を与えてくれるようでもある。 だがその安堵感に浸れる時間もどうやらこ...